1.能力開発について

1.能力開発 人間関係を知る4つのステップ① 第零回 四つのステップ

 
人は何のために生きているのか?日頃自らに問いかける機会の少ないこの問いの答えこそが、その人の生き方のあらゆる基礎となっているはずです。

そして、そんな自己を中心として、様々な人間関係を通じて世界は広がっていきます。決して一人では生きていけないからこそ、私たちは他者との関わり合いを絶対に避けることができません。

このセミナーでは、自己と他者、そしてその相互関係を4回に分けて考えていきます。

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たとえば「あなたはなぜ働くのですか?」と問われたら、皆さんはどう答えますか。その答えを探して自分自身を見つめながら、その自己がどのように周囲に影響を与えているのかを、あらためて考えてみましょう。

人生の充実、家族の絆、職場の人間関係、お客さまとの関係といった、すべての局面で求められる「人間力」とはどんなものなのでしょうか。

 

このセミナーは、次のような流れで展開していきます。
 
■第1回 自己理解
テーマ:「今の自分、あるがままの自分」を受け入れよう。
人生の意味やミッション(使命)を意識している人は、おそらく少ないのではないでしょうか。
だからこそ自分自身を見つめ直し、「あるがままの自分」を受け入れることが必要です。

■第2回 他者理解
テーマ:自分と他者の「違い」を認識する。
「自分」を受け入れたら今度は「他者」を理解する段階です。
「他者」をどう理解し受け入れるか。
相手を「好き」になる必要はありません。
自分との「違い」に気つき、認めていけばよいのです。

 ■第3回 自己主張(自己表現)
テーマ:自分自身を互いにどう表現していくか。(=アサーション)
他者とのやりとりの段階です。
相手の気持ちを傷つけずに、自分自身をどう表現するのか。
自己主張の技術があるとしたら、それはセールススキルにも通じることです。

■第4回 相互理解
テーマ: 人間関係とはリスクを選択することである。
(=リスクテイキング)
基本的に人間関係の選択肢は、「つづける」か「やめる」の二つ。
どちらもリスクがあります。そのリスクを覚悟してつきあうことで私もあなたも心がなごむ美しい関係、「Win-Winの関係]を目指します。

 

 | 第一回 自己理解 》次回
 季刊誌「Talks」掲載記事:人間力向上コラム

1.能力開発 人間関係を知る4つのステップ② 第一回 自己理解

■第一回 自己理解
あるがままの自分をどう発見しますか。

「あなたは何者ですか?」とたずねられたら、皆さんはどう答えますか。
あるいは、「あなたは何のために仕事をしているんですか?」という質問はどうでしょう。
きっと、すぐには答えられないと思います。

「自分は何者なのか?」ということは、できれば考えたくないものなんですね。それは、社会の中で生きていく上で、重要な意味を持つ問いかけだからです。

この質問に答えるためには、自分自身と向き合わなければなりません。

リストラによって長年勤めた会杜をやめた人たちが、職業安定所で得意分野をたずねられ、
「部長だったらできます。長年やってましたから。」と言ってしまうという話があります。

いかに[肩書]というものに頼って生きてきたかを、如実に表しているといえるでしょう。

 

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会社を退職した後の、第二の人生を考えるためのセミナーというものがあります。

そこでは、「自分を変える」というテーマでプログラムが組まれます。

人は誰でも「変わりたい」と願っても、他人の力で変えられることに対しては絶対に反発するものです。

そのため多くの場合、「スクラップ&ビルド」の手法が使われます。

まず、その人の現在の地位や肩書を徹底的に取りはずす「スクラップ」の過程があります。

「OO株式会社≒○○部長」といった、その人がこれまで築き上げてきた肩書を次々にはずしていくのです。

最後には、たとえば「地域美化運動委員」といった、プライベートな活動の肩書をもはがします。

そうして、丸裸の状態(スクラップ)にするのです。

肩書へのこだわりの根底には、「組織への所属の欲求」があります。

所属することで自分の存在意義を確認したいという気持ちです。

だからこそ、自分を見つめ直すためには、まず丸裸になることが有効な手段になるわけです。

ところで発達心理学に「反動形成」という考え方があります。

「根が貧乏な人ほどおごりたがる≒小心者ほど偉そうにふるまう」といったように、コンプレックスの裏返しによって行動してしまう現象のことです。

「反動形成」の最たる例として、幕末の「岡田以蔵」という人物があげられます。

彼は幕末の混乱期、同郷の坂本龍馬やエリート武士の武市半平太の側にあって、佐幕派の重要人物を情け容赦なく惨殺した人物です。
 
当時は冷徹で残忍な暗殺者「人斬り以蔵」として非常に恐れられ、後の世でも殺人を嗜好する異常者として見られることが多かったようです。

しかし、最近の研究では、彼の別な面がクローズアップされています。
以蔵は下級武士の息子で、貧乏な牛活を強いられてきたために、大きな劣等感を抱えていました。

「人斬り」としての彼の姿は、そんな劣等感の極端な「反動形成」だったのではないか。

以蔵は異常者ではなく、ただ自分目身がわからなかっただけなのではないか。
実際、いったん捕らえられ牢獄に入れられると、以蔵は別人のように「死にたくない、助けてくれ!」と泣き叫んだといいます。

もしも彼が自分自身をしっかりと見つめ、コンプレックスを受け入れていたら、あれほど極端な行動に出ることはなかったのではないかといわれます。

「反動形成」には段階があります。
まず、ストレスが発生する。次にその嫌な気特ちを解消するために、「怒る≒落ち込む」「泣く」「おちゃらける」といった「ディフェンスーコントロール(自己防衛)」のための行動が現れます。そして最後に、「反動形成」の具体的な症状が出てくるのです。

「反動形成」には、極端な場合、人と会いたくないため一日中パジャマで過ごす「パジャマ症候詳」や「アルコール依存」、「薬物依存」なども含まれます。

一方、「反動形成」をバネにしているケースとして、「ボランティア活動」によってストレスを解消しているといった例もあります。

誰にでも組織や肩書に依存する心はありますし、コンプレックスもあるはずです。

大事なのは、自分自身では認めたくないそうした心と真正面から向き合うことなのです。

[スクラップ]の次には「ビルド」の過程が始まります。
裸になった自分に、これまでの肩書とは無縁の長所を一つ一つ積み上げていき、「新しい自分」に気づくプロセスです。
心理学者のアドラーは「白分が不完全であることを受け入れる勇気を持って、一歩踏み出すことが重要だ」といっています。

この『不完全な勇気』を持つためには、自分自身と対時し、「あるがままの自分」を受け入れなければなりません。そこから「人問カアップ」につながる旅は始まるのです。

 

「話を聴くことが他者理解の始まり」

第1回の「自己理解」に続き、今回は「他者理解」です。
自分を理解し、自分を受け入れたら、
今度は自分と違う他者に気がついて理解する段階です。

 
  《前回 第0回 4つのステップ | 第二回 他者理解 》次回 
 季刊誌「Talks」掲載記事:人間力向上コラム

1.能力開発 人間関係を知る4つのステップ③ 第二回 他者理解

■第二回 他者理解

●自己開示とフィードバック
 さて、人は他者と接するときにはまず行動・言語・態度といった見える部分で判断します。

しかし、そういった外面的なことは実は氷山の一角で、これらの背後には感情・思考・動機・価値観といった内面の見えない部分丙面的要囚)が姿を隠しています。

人は相手を見える部分だけで判断し、同時に相手もこちらを見える部分でしか判断できません。

人間同士が理解しあうためには相互にこの「見えない部分」について口に出したり、行動に表すことが必要になってきます。

 

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(図1)『ジョハリーの心の窓』をご覧ください。この窓全体がひとりの人間を表しています。

パブリックウインドウは「自分も知っているし、他人も知っている自分」です。

この領域では人はのぴのぴと行動することができます。

一方、プライペートウィンドウは「自分が知っていて、他人は知らない自分」です。

つまり「隠している自分」です。

多くの場合、人は不安や恐れ、好悪の感情、コンプレックスなどを解決するよりも「隠す」ことにエネルギーを浪費していることが多いのではないでしょうか。

またブラインドウィンドウは「自分は知らないが、他人は知っている自分」です。
わかりやすい例は「癖」ですが、他にも、考え方やいざというときの対応など無意識の行動で他人に影響を与えていることも多いはずです。

こういった点では、身近な他人はあなた以上にあなたを理解している場合が多いものです。

そして、最後が「自分も知らない、他人も知らない自分」でアンノウンと呼ばれている領域です。抑圧された感情や隠れた才能などになります。

人はパブリック領域でもっとも効果的、生産的にコミュニケーションが図れます。

個人としても隠しごとなどがないため、リラックスして能力を発揮でき、他者との関係においても相互に理解し合っているので不必要な緊張や疑いを持つことなく、オープンで創造的な関係を築くことが可能だからです。

そのため、他者との艮好な関係を築くためには、この領域を相互に広げる努力が大切になります。

パブリック領域を拡大するためにはブラインド・プライペートの窓にその領城を広げていけばよいのです。

プライペートの窓に拡大するためには「自己開示」。
隠している自分をオープンにし、不安だ、頭にきている、好感を持っているといった感情を公表することです。

ブラインド領域に拡大していくには「他者からフィードバックをもらう」。
あなたはこういう良いところがある、といった意見を積極的にもらい、素直に受け止めることが効果的です。

これらを相互に積極的に行うことによって、自己理解を深めると同時に自分について他者に正しく理解してもらい、関係をさらに良いものとすることができるようになります。
 
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●相手の話を「聴く」ということ

自分と他者の間に介在するものはいうまでもなくコミュニケーションです。

コミュニケーションは「聞く」と「話す」で成り立ちます。

他者理解を深めるために大事なのが「相手の話を聞く」ことです。
「聞く」ことは受動的な態度に思えますが実はたいへんな労力と心構えが必要です。

この場合正確には「聴く」ことになります。
つまり「聞く=Hear」と「聴く=Listen」の違いがあって、コミュニケーションに重要なのは心をこめて[聴く]という行為です。

相手を理解しようと思ったら「積極的な傾聴=Active listening」 が必要になります。

●聴き方について
では、具体的に「聴く」という行為はどうあるべきでしょうか。ここが今回のポイントです。

《聴き方の条件》
①事実は何か…話したいことの裏には必ず原因があります。だから「何があったんだい?」という態度で事実を聞き出すことです。

②感情はどうか…相手は喜怒哀楽のどんな感情のなかにいるのかをとらえる。

③欲求:どうしたいと思っているのかを聞き出す。

たとえば先日泣きながら子どもが帰ってきました。

五歳の子どもは興奮して手がつけられません。
「どうしたの、何があったんだい?」と具体的に聴いていきました。

子どもは「お友だちが・・・してね・・・」と延々話し出します。

おおよその状況が分かったところで「そしてOOちゃんはどう思ったの?」と聴いたところ

「ほんとは一緒に…したかったのに入れてもらえなくて悲しかったの」という答えでした。

すっかり落ち着いたようなので「それで○○ちゃんはどうしたいのかな?」と聴いたところ「お友だちに謝ってくる!」といって元気に駆け出していきました。

「聴く」ためには「一切の否定・批判はしない」ことが前提になります。最後に「他にいいたいことはない?」と聴いてあげます。「ないです」といったら「で、どうしたいの?」と聞きましょう。相談する人は必ず自分自身の結論を持っているものです。それを引き出してあげるのです。
●聴き方のテクニック
 相手の心のコップの中にはいろいろなものが縁までタップリ詰まっています。

そこにたとえどんな高価なワインを注ぎ込もうとしても、注ぐそばからあふれてしまいますし、コップに入ったとしてもすっかり薄まってしまい、昧も何も分かったものではありません。

まずは、相手の話を聴くことでコップの中のものを出してあげましょう。

相手はいろんなことを話すことでコップが空になり、カタルシス(心の浄化)を得ることができるのです。
そうなったところで初めてあなたの話を切り出しましょう。

空のグラスに注がれてこそ、美味しいワインも初めて味わってもらえるのです。

相手の心のドアのノブはいつも内側についています。
どんどんとノックしたり、無理やりこじ開けようとしてもうまくいくわけがありません。
一生懸命聴いてあげることで内側から開けてもらうしかないのです。
 
 
【アサーティブに生きましよう】
日本人は自己を上手に主張することが苦手。
しかし、人間がコミュニケーションを交わし、相互に理解を深めていくためには、〈自己表現〉によって自分のことを相手に対して正しく伝えなければいけません。
 

 前回《 第一回 自己理解 | 第三回 自己表現 》次回 
 季刊誌「Talks」掲載記事:人間力向上コラム

1.能力開発 人間関係を知る4つのステップ④ 第三回 自己表現

■第三回 自己主張(自己表現)

自己を理解し、他者を理解したら次には他者に対して自分を主張(表現)する段階です。

ここでいう自己主張は、一方的に自分の意見を言い放つことではありません。あくまで、相手の気持ちや状況を考えながら自分を表現していくことです。

この自己表現はアサーション(Assertion)といわれています。

アサーションの考え方と技法は1950年代にアメリカで行動療法と呼ばれる心理療法の中で開発され、70年代にさらに人間関係の促進に活用されるようになりました。

その背景には「人権」や「差別」をめぐる社会的・文化的ムーブメントがありました。

アサーションの考え方は単に自己表現や対人関係のための治療法というだけではなく、広く人間の価値や平等に対する考え方、また差別など人権問題にかかわるときの有効な対応方法として生まれていきました。

現在では習慣や馴れ合いによって起こりがちな社会的失敗を予防するために、対人関係スキルのトレーニングにも活用されています。

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●コミュニケーションのポイント

さてアサーションはコミュニケーションの手法として有効な手法です。アサーションを考える時、コミュニケーションのポイントが見えてきます。

コミュニケーションは送り手と受け手によって成り立ちます。

ところがひと頃までは、何をどう伝えるかといった送り手のスキルのみが重視されてきたといってよいでしょう。

「話し方教室」や「プレゼンテーションのしかた」の類のようなものです。

しかし現実には、送り手の主張が上手に表現されることと同様に、「受け手がどんな気持ちで受けとめているか」を考えながら伝えることが、コミュニケーションにおける重要なポイントになることはいうまでもありません。

このことは、簡単なことのようですが、気がついて実行するにはなかなか難しいことです。

人は、コミュニケーションの際に、自分の体験や知識の枠組みのなかで相手の話しを理解します(認知の枠組み)。

逆にいえばその枠組の中でしか相手の話しが理解できないということです。
さらにそこに気持ちや感情といった要素が加わると、送り手と受け手のギャップは想像以上に広がっているはずです。

上司と部下などというような関係ではなおさらです。
伝えたつもり、言ったつもりというミスはここに必然的に発生するのです。

相手と認知の枠組みが異なることは仕方がないことです。
だからこそ、自己表現や自己主張は難しいのです。

『聞きそこないは言い手のそそう』という盛田昭夫氏の言葉があります。
相手に話が伝わらなかったのは送り手側に非があるというわけです。

相手のことを考え、認知の枠組みをふまえてコミュニケーションをするにはここまでの覚悟が必要なのです。

 具体的な例としては、その業界特有の専門用語があげられます。
パソコン関連では最近多くの人が実際体験しているのではないでしょうか。「ダイアログ」「テキスト」「モデム」…。

相手が当たり前のように使っている言葉がこちらは半分も分からずに、質問してもますます分からなくなったなどということはよくあることです。

その他にも医者や法律家、学者などのように、ひとつの世界に長く関わっている人ほど、自分が持つ枠組みを誰もが持っていると誤解しがちです。

営業の仕事はその大半がコミュニケーションといっても過言ではありません。

その営業マン研修の現場では、認知の枠組みをふまえたコミュニケーション能力を身につけるための方法として「小学校六年生に伝えるつもりで」説明するというトレーニングが行われたりしています。

●相手も自分も大切にした自己主張

日本人は言葉にして伝えることが苦手だといわれます。
「オレの目を見ろ」や「オマエだったら分かってくれるだろう」式のコミュニケーションは相手依存型とも甘えの構造ともいわれます。

一方、多民族国家であるアメリカなどでは、はっきり言葉にして伝えないとそもそもコミュニケーションが成り立ちません。

ディズニーランドの運営はよくサービス業の耳目をひくところですが、そのマニュアルには大いに学ぶところがあります。

掃除ひとつにしても日本では「きれいにしよう」とあれば充分なところが、「明日の朝いちばんに入ってきたゲストの赤ちやんがどこでハイハイしても大丈夫なように」と具体的な言葉に落とし込まれています。

習慣や生活環境が違えば、「きれい」の度合いもひとり一人違います。
従業員が等しく共通の理解ができるようにとの認識からなのです。

さて、自分の考えを言葉に出して伝えるということは、実際難しいことで、勇気がいることでもあります。

とくにありのままの自分の感情を伝えることに慣れていない人、苦手な人は多いでしょう。

相手の発言や行為に対して自分がどんな風に感じたか、不快、怒り、屈辱といった感情はもちろん、喜びや感動を伝えることでも改めて行おうとすると気まずいものがあるのが正直なところではないでしょうか。

しかし、自分も素直にいう、そして同様に相手も今自分がいったことに対してどう感じたかを話しやすい関係をつくっていくことは、時にはきまずいことがあっても、表面的なコミュニケーションを延々と続けるより、よほど実りが多い生産的な関係を築けるのではないでしょうか。

逆に言葉にしないで黙してしまうと、そのことがやがて怒りやストレスとなって、軽い時には愚痴、ひどくなると相手への攻撃のエネルギーとなってしまうことがあります。

あら探しや相手を追いつめたり、被害妄想に陥るなど「理解」ではなく、非生産的な繰り返し(心理学的には「加害者のゲーム」といわれる状態)になってしまうのです。
こうなっては自分自身も他人も傷つけてしまう状態です。

アサーティブな自己表現は、こういった状況を回避し、相手も自分も大切にする方法です。

アサーティブな自己表現をすることで相互理解へ近づきます。
前号で話した相手に共感して受け入れる積極的な傾聴(Active Listening)、そしてアサーティブな自己表現を相互に繰り返し、自他尊重のうえ自分も相手もアサーティブになることが大切です。
 
  
[回避できない人間関係]
『人間関係を知る4つのステップ』というテーマで進めてきた人間カアップセミナーも今回が最終回、「相互理解」の段となりました。
 
 

  《前回 第二回 他者理解 | 第四回 相互理解 》次回
 季刊誌「Talks」掲載記事:人間力向上コラム

1.能力開発 人間関係を知る4つのステップ⑤ 第四回 相互理解

■第四回 相互理解

●人生に対する「基本的構え」

ここまで自己理解--他者理解--自己表現と続いてきたわけですが、これまでのステップそのものが、「相互理解」へのプロセスと考えていただいてよいでしょう。

自分を理解し、自分とは違う他者に気づき、相手を理解しながら、自己を表現する、それが相互におこなわれて、「相互理解」が生まれます。

これはすなわち、人と人が「コミュニケーション」をするということでもあります。

ところで、コミュニケーションとは何ですか?と問いかけると、答えはさまざまです。

コミュニケーションそのものの概念についてすらそれぞれの人の認識が違うのですから、それを実践して相互に理解することは簡単ではありません。

他者とのコミュニケーションを考える際、これは「自己理解」[他者理解]の項にも通じることですが、自分の人生に対する『基本的な構え』を認識することも効果があると思います。
人は成長過程でさまざまな経験を通して「自己イメージ」や「他者に対するイメージ」を形成します。

たとえば「お前はダメだ、嫌いだ」と否定的に投げかけられて育てば、自然に「自分はダメな人問だ。I’m not OK.」という自己イメージを形成します。

自分と他者を[OK]ととらえるか「OKでない」ととるかは人生に対する構えが大きく異なり、対人関係の持ち方に大きな影響を与えることになります。

「構え」は「態度」といいかえることができます。

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あなたはどんな感覚で日々を過ごしていますか。
まず自分の基本的構えをとらえましょう。
そして相手にも構えがあることを感じることです。
相手の腹の中には自分と違う価値観があるのだということを認識することがコミュニケーションの最初のステップです。

また前号で述ベたように、より良いコミュニケーションをして相互理解にいたるためには「I’m OK, You’re OK」というアサーティブなとらえ方をめざすことが人間関係をよくするひとつの目標にもなるでしょう。

●人間関係は回避できない
「人は自分を好きになってくれる人を好きになる」。
自分に好意を持ってくれる人に好意を持つ、これが人問関係の絶対原則です。

しかし「ウマがあう」などというように、なんとなく合わない、なんとなく好きになれないということもあります。

どうしても嫌いだということもあるでしょう。人間とはやっかいなものです。
こんな場合、コミュニケーションは成り立たないのでしょうか。

この問題についてハイダー(Heider)のバランス理論を引用して考えてみます。

ある事象(X)に対して、自分(P)と他者(O)の考えや行動が異なっている場合、Xに対して共通性や類似性を見つけるために、まず相手を認めたり、関心を持つことでバランスをとっていく、という考え方です。

たとえば自分も相手もサッカーが好きな場合、いやが上にも二人の間で話は盛りあがります。
また二人とも嫌いだったら、「どうしてあんなに夢中になるんだろう」という具合に、話は合います。

しかし、相手がサッカーが好きで、自分が嫌いなときにはどうでしょう。
そこでコミュニケーションを止めてしまいますか?

この場合、自分はあまり興味ないけど「どうしてそんなに好きなの?」とか「どこが面白いの」「カズという選手ほ知っているけど」・・・というように相手を認めて少しでも関心や興味を持つことで、話を進めることはできます。

これまで述べたように、コミュニケーションは双方が受け手のことを考えてキヤッチボールをしていくことが大事なのですが、人間関係が、どうしてもうまくいかないことは往々にしてあることです。

相互理解ができない、どうしてもしたくない。
そんな人問関係を続ける場合、これまで述べたようにさまざまな方法で努力をして改善しようとすることも、止めて新しい人問関係を開拓することも、いずれも傷みを伴います。

つまりリスクを負うことなのです。

たとえば、同僚や上司とどうしても合わない場合、改善しようとしてまず自分が努力するとします。

しかし、相手は分かってくれないかもしれません。

あなたの努力は無駄になるかもしれないというリスクがともないます。

また、もうだめだと同僚や上司との人間関係を止める、つまり会社を辞める場合も今後の仕事の手当てや生活の上に大きなリスクを負うことになります。

つまり人間関係の問題とは、リスクを回避することではなく、どちらのリスクを選択するかという問題です。

対人関係で悩んだとき、止めるも続けるも”リスクテイキング“なのです。回避はできません。

さて、それでも人は他者との関わりのなかで生きていきます。
まず自分自身に気づき、相手を受け入れたり、相手に受け入れられたりして相互理解を深め、よりよい関係を築いていかなければなりません。

もしもコミュニケーションによる相互理解に理想型としてのゴールがあるとしたら、それは心理学的に『共有』という状態で表現されます。

共有とは『自分が他人(相手)の考えや他人の主体と共にする』と定義されます。
主体とは性格や価値観、動機といった内面的な要因のことをいいます。

つまり自分とは性格も価値観も違うのが他人であり、それを認めつつ共存するということです。もちろん自分もそのように和手に尊重される状態です。

この理想に近づく道が、これまで述べてきたプロセスです。自分を理解して、さらに他人を理解して受け入れ、自分と相手の相違を明確にしたら、それを口に出してコミュニケーションする。こうして相互理解が成り立つのです。

 

 

 《前回 第三回 自己表現 | 
 季刊誌「Talks」掲載記事:人間力向上コラム

1.能力開発 保険販売に必要な教育とは①

 

 2007年末に銀行窓販の全面解禁になってから数ヶ月が経ちました。その直前の金融商品取引法の施行などもあり一時期は戸惑いの声も聞こえていましたが、早々に「窓販専用」の保険商品が登場するなど、注目度は高まっている様です。
このような状況を踏まえ、今回は銀行窓販に焦点をあてつつ、保険商品を扱って間もない銀行の方々にも分かりやすい内容である事を意識しながら、保険商品の販売において知っておきたいセールスのポイントについて解説していきます。そもそも生命保険とは(基本的には)、「将来に発生するのであろうリスクに対して対処しておきましょう。」という商品です。
ですから、その時のお客様のライフプランにおいて想定できるリスクをお客様の視点に立って発見し、そのリスクを分かりやすく伝える事がとても重要になります。
そう考えますと、一律的に商品情報を提供するだけでは販売実績に繋がりづらい商品だともいえるようです。
商品知識以外の営業教育を専門的に行う組織を有している生命保険会社が少なくないのはそのあたりの重要性を意識しているからなのでしょう。

では、保険商品を販売する為に必要な教育とはどの様なものなのでしょうか。

この一見ややこしそうな課題を非常に分かりやすくモデル化した、カッツの理論(1955:ハーバード大学:ロバート・カッツ)をご紹介します。
もともとは「マネージャーに求められる能力とは何か」を説明する際によく使われる理論ですが、私はこの理論が非常に大好きでして、教育に関するご相談に来られる銀行や生命保険会社の方々には常にご紹介している考え方です。

職務を遂行する為に必要な能力は、職層によって異なりますが、必要な能力は大きく分けて3種類あり、職層に応じて必要な能力の配分が異なるという考え方です。

ロバート・カッツの理論ロバート・カッツの理論

 

縦が職務階層を、横軸は必要とされる度合いを示しており、各層における各能力の面積比がそのまま各層における、必要とされる各能力の比率になります。

横軸の能力は、コンセプチュアルスキル(概念化能力)、テクニカルスキル(専門能力)、ヒューマンスキル(対人能力)の3種類に分ける事ができます。

コンセプチュアルスキルとは、戦略などを立案し推進する為の能力の事を指します。
舵取りを常に求められるトップマネジメント層(経営層)には強く求められる能力です。

テクニカルスキルは業務遂行者であるメンバー層に強く求められます。お客様に正しく商品を説明する、パソコンを使って書類を作成するという事ができなければ円滑に業務を遂行できませんからとてもウェイトは重くなります。商品知識もテクニカルスキルの範囲になりますから、テラー(保険販売を担当する窓口担当者など)の方々に対して商品研修を行う事はとても重要だという事がわかります。

ここで注目すべきは、全ての層で均一に必要とされているヒューマンスキルです。メンバー層からトップマネジメント層まで一貫して必要とされている能力で、いわゆるコミュニケーション、リーダーシップ、プレゼンテーションなどを指します。

メンバー層では、お客様とのコミュニケーションやプレゼンテーションになるでしょうし、マネジメント層では、社内においては部下や上司とのコミュニケーション、社外においては支店長や事業部長へのプレゼンテーションという環境で発揮される能力です。

冒頭でお話しました通り、生命保険商品の販売は顧客の視点に立ってリスクを顕在化してあげる事と、上手に伝える事ができてはじめて成立しますから、商品知識(テクニカルスキル)だけでは思うように保険商品を販売する事ができません。ヒューマンスキルに関する教育もあわせて必要になるという訳です。

ヒューマンスキル教育はどの職層に対しても有効ですし、一度活用できる様になれば職層が変わってもそのまま活用する事ができます。
例えば、渉外としてお客様との関係を上手に築く事に長けていれば、管理職に昇進した場合でも部下との関係を上手に築く事ができるといった活用が考えられると思います。

保険商品を販売する為に学ぶべきヒューマンスキルは数多くありますが、生命保険業界の長い歴史の中で、保険商品を販売する上でのセールスプロセスというものが確立されています。各社、色々な表現や手法で教育を行っていますが、基本的なプロセスに違いは無い様に思います。
生保業界特有のプロセスもありますが、生命保険を販売する上でのゴールデンルールですから、少なくともこのセールスプロセスは全て学ばれる事をお奨めします。

銀行窓販には銀行窓販特有の利点もあります。
まず、一般的に「銀行」には「信用」が付いてきますので、金商法などによる決められたステップはありますが、基本的には資産運用の流れのままワンストップで保険のお話を聞いて頂く事ができます。これは、保険業界が最も労力を使っている、相手との信頼関係を構築するための数々のステップを大きく省略できる強力なポイントです。
また、「預貯金のついでにまたお気軽にご相談下さい。」など、機会(オポチュニティ)をストレスなく提案できる点も大きなポイントでしょう。

ただし、現在急成長している来店型店舗を利用されるお客様の様に、保険商品に対して興味や目的を持っており、自分達のライフプランをプロフェッショナルに相談したいと考えて来店される様なお客様ばかりが対象ではありませんから、潜在的に何かを売りつけられるのではないか?という不安感をセールスプロセスの中で丁寧に取り除いていく必要があるという点では注意が必要だと思います。

保険商品を販売する上で非常に有効と考えられる技術には、ニーズを明確にするセールスプロセスや、潜在的なニーズを顕在化させる様々な技術、心理学などを使った確認しておきたい情報を聴き出す技術などがあります。

次回からはセールスプロセスについて、分かりやすく解説していきます。

 

保険情報記事:
2008年6月6日掲載「銀行・証券会社のためのニードセールス

1.能力開発 保険販売に必要な教育とは②


生命保険という商品はもっとも売る事が難しい商品の一つだとよく言われます。
世の中の様々な商品と比較すると、目で見たり、手にとってみたり、肌で感じ取る事ができない商品ですから、お客様に十分に納得して頂いて購入までに至るためには、様々なプロセスを丁寧に踏む必要があるだろうということは、容易に想像できることだと思います。
さらに、生命保険を販売する立場としては悩ましい事ですが、生命保険市場の大きな変化も生命保険販売の難易度を上げている様です。
今回は、生命保険市場の変化によるお客様の変化をわかりやすく解説した上で、生命保険販売の基本となるセールスプロセスについてお話したいと思います。
私は、「男性がスーツを着て保険商品を販売するなど聞いた事がない。」と言われていた時代から長く生命保険業界に関わっていますが、特にこの10年間は劇的に変化していると実感しています。

まずは商品の開発サイクルが大きく変わりました。
多くの生命保険会社が非常に早いサイクルで新商品をリリースする様になりました。
今では、人気のある保険商品が出れば半年後には他社から類似商品が販売される事が普通になっていますから、極端な話、商品自体の販売寿命がそれこそ半年で終わってしまいそうなほどの勢いです。
さながら携帯電話の最新機種の様に、次から次へと新商品がリリースされてきていますから、結果的にはお客さまが選択できる商品の幅が広がることになり、良い意味で個々の商品に大きな差が出づらくなっている様です。

もう一つ大きく変わった点が、生命保険の販売経路(チャネル)です。
生命保険自体の購入方法もずいぶん選択肢が増えてきました。生保レディーと呼ばれる営業職員の方々だけではなく、紹介とライフプランの提案を主としたFP 型社員によるリテール販売や、証券会社・銀行(現時点では主に個人対象)での窓口販売、さらに最近ではインターネットでの保険商品の比較サイトや代理店の 評判口コミサイトを経由した来店型店舗(お客様が保険を購入する為に足を運ぶ店舗。保険のプロフェッショナルから各社の商品をアドバイスしてもらい、比較 検討した上で商品を購入する事ができる。)による販売など、様々な販売経路ができています。

特に金融窓販専門の保険会社が設立すぐから順調に実績をだしていますし、中小生命保険会社(メーカー)と肩を並べるほどの高い実績を出す来店型の独立系代理店が現れるなど、劇的な変化が今なお続いている様です。
生保販売高が微減している中で、新たなチャネルが確実に販売実績を出しているという事は、マーケットを創造し、それが成長期にシフトしてきている表れだという事でしょう。

次に、お客さまはどの様に変化しているのでしょうか。購入経路を選択でき、商品の比較情報の入手が比較的容易になった結果、「自分達のニーズにピッタリ合った保険商品を選びたい。」といったお客さまの声が非 常に強くなってきていると思います。「40代であればこの商品、50代であればこの商品」といった、セールスマンの勘に頼った方法では販売結果を出しづら くなってきていると感じている方も多いのではないでしょうか。

 

このように生命保険商品を取り巻く環境は大きく変わっているのですが、それでも確実に販売実績を出している方々は数多くいます。
確かに、飛びぬけた実績を出せる方々には、何か特別に魅力的な面を持っている事が多いのですが、それだけでは保険商品は販売できません。
また、ついつい勘違いしがちなのですが、保険商品に関する商品情報をたくさん持っていれば実績を出しやすいかというと、残念ながらそういう訳でもありません。
これは過去の数多くの販売データをもとに分析した結果から何度も確認されている事ですが、分析のデータからはセールスマンが持つ商品情報の量や深さと販売実績には深い相関関係が出てこない事が分かっています。
お客さまは、確かに商品知識を正しく説明して欲しいと思っているのですが、もっと総合的に判断して購入の是非を決定しているのです。

では、お客さまに感謝されつつ効率的に保険商品を販売する方法があるのでしょうか?
実は手法はあります。生命保険の販売には明確なセールスプロセスが存在するのです。
実績を出している方々は、意識的にせよ、無意識的にせよ保険販売におけるセールスプロセスを丁寧に踏んでいるのです。

販売の為のスクリプト(トークの手順やシナリオ)の習得も非常に重要な要素ではあるのですが、保険販売を行うための根本的なセールスプロセスを知らなければ、お客さまに高い満足感を与えつつ効率的に保険商品を販売する事はできません。

このセールスプロセスとは、ニードセールスと呼ばれる、「誠意を持ってお客さまの欲求・要望(ニード)に対して的確な商品を提案すれば、お客さまは商品を購入してくれる。」という考え方をプロセス化したものです。

この考え方は、生命保険販売に限らずどの様な商品にも共通するのですが、特に生命保険という商品の販売においてはこのプロセスを守らない限り、高い満足度を与えつつ効率的に販売する事はできない事がはっきり分かっています。

生命保険業界内では当たり前のプロセスですから、様々な形で社内教育の中に組み込まれていますし、わざわざ強調する必要もないほど当然の流れとして認識されています。
しかしながら、銀行窓販など保険の販売をしはじめたばかりの方々にとっては、はじめて知る方が多い様です。

生命保険業界の方にとってはおさらいとなりますが、非常に重要なプロセスですから、改めて自分自身の行動を見つめなおす良い機会として読んで頂きたいと思います。

この図は、有名な「ニードセールスのピラミッド」と呼ばれるものです。セールスのプロセスを大きく4つ(アプローチ、ファクトファインディング、プレゼンテーション、クロージング)に分けた場合の各々のプロセスに対する時間や手間の掛け方を表しています。

背景にある正三角形(アプローチが少なく、クロージングが多い)は、経験の浅いセールスマンがついついとってしまいがちな時間の掛け方です。

お客さまのニードを確認するよりも、商品の説明や、購入の決断を迫る事に時間と労力を費やしているやり方です。

色のついた逆三角形(アプローチが大きく、クロージングが小さい)が、実績を出している方々の時間の掛け方です。
大きな違いは、『お客さまのとの信頼関係をまずは構築し、しっかりとニーズを聞き出す。』為に時間と労力を費やすという事です。

結果として、提案する内容=お客さまが欲しい内容となれば、提案した時点でお客さまの決断は決まってしまっていますから、ニードセールスにはクロージングというプロセスは存在しなくなり、お客さまの満足度も非常に高くなりますから、紹介は口コミが自然に発生してきます。

次回は、各プロセスについて一つ一つ細かく解説して行きます。

 

保険情報記事:
2008年7月6日掲載「銀行・証券会社のためのニードセールス 

 

 

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