2007年末に銀行窓販の全面解禁になってから数ヶ月が経ちました。その直前の金融商品取引法の施行などもあり一時期は戸惑いの声も聞こえていましたが、早々に「窓販専用」の保険商品が登場するなど、注目度は高まっている様です。
このような状況を踏まえ、今回は銀行窓販に焦点をあてつつ、保険商品を扱って間もない銀行の方々にも分かりやすい内容である事を意識しながら、保険商品の販売において知っておきたいセールスのポイントについて解説していきます。そもそも生命保険とは(基本的には)、「将来に発生するのであろうリスクに対して対処しておきましょう。」という商品です。
ですから、その時のお客様のライフプランにおいて想定できるリスクをお客様の視点に立って発見し、そのリスクを分かりやすく伝える事がとても重要になります。
そう考えますと、一律的に商品情報を提供するだけでは販売実績に繋がりづらい商品だともいえるようです。
商品知識以外の営業教育を専門的に行う組織を有している生命保険会社が少なくないのはそのあたりの重要性を意識しているからなのでしょう。
では、保険商品を販売する為に必要な教育とはどの様なものなのでしょうか。
この一見ややこしそうな課題を非常に分かりやすくモデル化した、カッツの理論(1955:ハーバード大学:ロバート・カッツ)をご紹介します。
もともとは「マネージャーに求められる能力とは何か」を説明する際によく使われる理論ですが、私はこの理論が非常に大好きでして、教育に関するご相談に来られる銀行や生命保険会社の方々には常にご紹介している考え方です。
職務を遂行する為に必要な能力は、職層によって異なりますが、必要な能力は大きく分けて3種類あり、職層に応じて必要な能力の配分が異なるという考え方です。
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ロバート・カッツの理論
ロバート・カッツの理論
縦が職務階層を、横軸は必要とされる度合いを示しており、各層における各能力の面積比がそのまま各層における、必要とされる各能力の比率になります。
横軸の能力は、コンセプチュアルスキル(概念化能力)、テクニカルスキル(専門能力)、ヒューマンスキル(対人能力)の3種類に分ける事ができます。
コンセプチュアルスキルとは、戦略などを立案し推進する為の能力の事を指します。
舵取りを常に求められるトップマネジメント層(経営層)には強く求められる能力です。
テクニカルスキルは業務遂行者であるメンバー層に強く求められます。お客様に正しく商品を説明する、パソコンを使って書類を作成するという事ができなければ円滑に業務を遂行できませんからとてもウェイトは重くなります。商品知識もテクニカルスキルの範囲になりますから、テラー(保険販売を担当する窓口担当者など)の方々に対して商品研修を行う事はとても重要だという事がわかります。
ここで注目すべきは、全ての層で均一に必要とされているヒューマンスキルです。メンバー層からトップマネジメント層まで一貫して必要とされている能力で、いわゆるコミュニケーション、リーダーシップ、プレゼンテーションなどを指します。
メンバー層では、お客様とのコミュニケーションやプレゼンテーションになるでしょうし、マネジメント層では、社内においては部下や上司とのコミュニケーション、社外においては支店長や事業部長へのプレゼンテーションという環境で発揮される能力です。
冒頭でお話しました通り、生命保険商品の販売は顧客の視点に立ってリスクを顕在化してあげる事と、上手に伝える事ができてはじめて成立しますから、商品知識(テクニカルスキル)だけでは思うように保険商品を販売する事ができません。ヒューマンスキルに関する教育もあわせて必要になるという訳です。
ヒューマンスキル教育はどの職層に対しても有効ですし、一度活用できる様になれば職層が変わってもそのまま活用する事ができます。
例えば、渉外としてお客様との関係を上手に築く事に長けていれば、管理職に昇進した場合でも部下との関係を上手に築く事ができるといった活用が考えられると思います。
保険商品を販売する為に学ぶべきヒューマンスキルは数多くありますが、生命保険業界の長い歴史の中で、保険商品を販売する上でのセールスプロセスというものが確立されています。各社、色々な表現や手法で教育を行っていますが、基本的なプロセスに違いは無い様に思います。
生保業界特有のプロセスもありますが、生命保険を販売する上でのゴールデンルールですから、少なくともこのセールスプロセスは全て学ばれる事をお奨めします。
銀行窓販には銀行窓販特有の利点もあります。
まず、一般的に「銀行」には「信用」が付いてきますので、金商法などによる決められたステップはありますが、基本的には資産運用の流れのままワンストップで保険のお話を聞いて頂く事ができます。これは、保険業界が最も労力を使っている、相手との信頼関係を構築するための数々のステップを大きく省略できる強力なポイントです。
また、「預貯金のついでにまたお気軽にご相談下さい。」など、機会(オポチュニティ)をストレスなく提案できる点も大きなポイントでしょう。
ただし、現在急成長している来店型店舗を利用されるお客様の様に、保険商品に対して興味や目的を持っており、自分達のライフプランをプロフェッショナルに相談したいと考えて来店される様なお客様ばかりが対象ではありませんから、潜在的に何かを売りつけられるのではないか?という不安感をセールスプロセスの中で丁寧に取り除いていく必要があるという点では注意が必要だと思います。
保険商品を販売する上で非常に有効と考えられる技術には、ニーズを明確にするセールスプロセスや、潜在的なニーズを顕在化させる様々な技術、心理学などを使った確認しておきたい情報を聴き出す技術などがあります。
次回からはセールスプロセスについて、分かりやすく解説していきます。




